混乱

人が縛られている「前提」から解放されるとき、

「混乱」が大きな役割を果たしている気がします。

対人援助者のアプローチに対して、受け手は抵抗を示すことが多くありません?

 

どうも無意識という輩が、何らかの肯定的意図をもって

バリアを張り巡らせているようなんです。

しかし、この無意識、全くの無意識ではないようなんです。

あー、ちょっと何を言ってるのか伝わりにくいですよね。。。

要するに、意識が平常に働いている必要があるみたいなんです。

意識が平常でいる限り、無意識はその意識ではカバーできない領域を

がっちりガードしているんです。

 

つまり、ある状況があなたを襲ったとします。

意識がそのターゲットに照準を合わせて捉えます。

集中が深まります。

その結果、ターゲット以外のものが見えなくなっていきます。

どうも意識という輩は同時にいくつものことに対処するのが苦手のようです。

ターゲットをロックオンしたあなたは、それ以外の刺激から

完全に無防備になるわけです。

 

そこで無意識が立ち上がります。

スゲーぞ無意識!

絶対防御発動です。

意識の穴?というより、逆カマクラ状態とでもいいましょうか、

ちょうどすっぽり覆うように無意識があなたをガードします。

NARUTOで言うところの我亜羅のような感じです。

 

そして、このフォーメーションは的確です。

ターゲットが変わるとまた形状の異なる最適のフォーメーションで

穴を埋めてあなたをガードし続けます。

つまり、無意識と言いつつも意識とつながっているようなのです。

そうでないと再現性をもって最適と思われるフォーメーションを

毎回毎回違えることなく発動することができるはずがないからです。

 

お気付きのように、毎回違えることなく発動するがゆえに

違う可能性の追求は断念されます。

いつもと同じ行動を取ってしまうことになります。

異なる選択肢を選ぶ道が閉ざされているのです。

これが、人が変われない原因のような気がします。

 

そこで必要になるのが「混乱」なのです。

この人はなぜこんな話をしているのだろう?

私の今の症状に何の関係もないじゃん!

なんで今この話をするわけ?

意識が乱れます。

それに引っ張られるかのように無意識の絶対防御に

隙が生まれます。

つまり、ここで、あるケースに最適だと思われたフォーメーションが

形を変えるわけです。

今まで入ってこなかった情報や選択肢が入る隙が生じるわけです。

これまで「問題」を維持してきたパターンからの脱却です。

まさに今、変化の入り口に立ったわけです。

 

対話のコツはこの状況を意図的に作ることにあるようです。

意図的に混乱を作り出し「抵抗」が発動するパターンを破る。

そのタイミングを見計らってズバッと「質問」を投げ込む。

普段と異なる文脈で質問を受け取ることになるので、

異なる選択肢が目に入るようになるのです。

そこに深い気づきがあるわけです。

 

私たちは、常に多くの「前提」に心を縛られています。

自由に振舞うことができなくなっているのです。

しかし、そこにはあなたを護ろうとする肯定的意図があるのです。

他の人から見れば馬鹿げた振る舞いであったとしても、

あなたを全力で護ろうとする力が働いているのです。

 

クライアントさんがそのことに気づいて受け取れるようになる

そんな関わり方を心がけることがとても大切な気がします。

 

 

 

3−2−1 イチロー

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イチロー

3月21日

イチロー引退。

 

平成最後の年でもある。

 

深夜の記者会見。

これまで、正直あまり心に響かなかった言葉が

昨日に限ってはビシビシ心に響く。

 

最後に本音で語ってくれたのか、

それとも、やっと僕が彼の言葉を受け取れるようになったのか

ビシビシ届いた。

 

朝になって全文記事を読んだ。

さらに響いた。

本当に味わい深い言葉の数々だった。

 

多くの対人援助者や育成担当者にとって

大切な思想がたくさん散りばめられていたように思う。

 

スティーブ・ジョブズスタンフォード大でのスピーチが

頭をよぎった。

 

ロバート・キャンベルのヒーローズジャーニーの体現者

そのもののような気がした。

 

平成がカウントダウンして終わっていく

主演、イチローの帰還という締めくくりとともに。